一般社団法人SEOU会 挨拶 – SEOU会

挨拶

一般社団法人SEOU会 

特別名誉顧問 福井俊彦

コロナやウクライナ問題に明け暮れる昨今ですが、やや長期的に世界全体の動きを見ると、既にそれ以前から幾つか大きな問題が目に映るようになっておりました。
経済の面では、グローバル化とdigital 化が進むにつれ、多くの国において所得格差の拡大ひいては社会の分断が見られるようになっています。

また、18世紀半ばの産業革命以降続いて来た製造業を中心とする産業資本主義が先進国を中心に成熟段階に達し、新しい資本主義の模索が始まっています。

申すまでもなく、digital革命の一層の進展、carbon neutralを目指す動きなど新しい胎動が幾つか見られますが、人々の真の幸せ追求に果たしてこれで足りるか、真剣な思考が始まっていると私は察しております。
もう一つは、世界秩序形成の問題です。第二次世界大戦後は、国連を主たる舞台としつつ圧倒的な総合力を持つ米国が大きな責任を負って要の役割を果たす、いわゆるPax Americana に大きな信頼が寄せられて参りました。

ところが、戦後70年余を経て今やPax Americana にも経年劣化の兆しが窺われるようになっています。

これを要するに、世界は大きな転換期に差し掛かっていると見られるわけで、老いも若きも、これからは人々が一層前向きの姿勢で新しい世界経済、世界秩序の形成に向けて邁進して行かなければならない。そういう時期に差し掛かっていると申せましょう。

我が国は、戦後長きに亘り、先ずは経済の面から欧米先進諸国に追い着け、追い越せ、を目標として繁栄の道を築いて参りましたが、それで済む時期はもうとっくに過ぎています。

遅ればせながら、これからは、志の高い若者が起業して経済の先端を切り拓く、安全保障の面でも若者が望ましい未来の体制をデザインして国境を越えて共感を得る。

老いたる者は、そうした逞しい若者の発進を背後から強くサポートする。

真底活力に溢れた日本社会はこのようにして初めて実現する、と私は固く信じております。