一般社団法人SEOU会 スタートアップ育成 – SEOU会

はじめに

コロナを経て世界のマーケットが大きく変化した為に、日本国内でも新規事業の立ち上げ/事業再編/M&A/投資などが近年加速しています。一般社団法人SEOU会では正会員向けに「POC投資基準」に沿ったスタートアップをピッチや各種イベントを通してご紹介し、会員様の事業拡大の一助を担います。

なぜ、投資基準として
POCを重視したのか?

現在、スタートアップ企業の92%が最初の3年間で廃業すると言われており、さらに上位5つの理由が全ての失敗の87%を占めているという調査があります。

スタートアップが失敗する理由Top5(これらが失敗の理由全体の87%を占める)

  • 誰も欲しがらないものを作っている:36%
  • 人材採用の不振:18%
  • 営業・マーケティングの失敗:13%
  • 適切な共同創業者がいない:12%
  • 顧客ではなく投資家を追いかけている:8%

引用:https://e27.co/5-ways-how-venture-builders-can-reduce-startup-failures-20200902/

これらの各失敗ポイントに対処できる方法論を適用することで、スタートアップの生存率を向上させることができ、当然これはスタートアップの成功確率にも繋がります。調査によると、「失敗」を定型化することで、スタートアップのスタートアップ創業後3年間の生存率を8%から約50%にまで上昇させることができる、とされています。

多くのベンチャーが行ってきた「ウォーターフォール型」の既存経験値・事業計画では、マーケットの事前予測や、実際に進めてみた際に起こる問題点をフットワーク軽くトライ&エラーする進め方が難しいといった点があります。さらに、新しい経済ではIOT/DX/ICT/Web3/5G/ドローンなど、導入コストの面でのリスクも高いです。

そこで大切になってくるのが、Proof of Concept(PoC)とMinimum Viable Product(MVP)というプロジェクトプロセスをベースとした段階別投資が成功確率を高める大切な基準となります。

現代の様な時代の変化が目まぐるしい中では、経営判断と投資判断には非常に重要なプロセスであり、SEOU会では【POC/POV/POB】の3段階に分け各フェーズで投資イベントを設定してまいります。

【スタートアップ エントリー リスト】

PoCとは?

PoCとは「Proof of Concept」の略称で、アイディアが本当に実現可能であるかの検証を実際のマーケットレベルで行う「概念実証」のことです。仮にビジネスアイディアを思いつき、何かしらの課題を解決できると考えたとしても、本当にそのアイディアで解決できるのかは実験をしてみなければわかりません。

そこで、実際に近い商品やサービスをライアントに提供してみることで、考えてもいなかったような問題を数値的に抽出し、目標としているゴールへ向かっているか?それが本当に思い通りの結果につながるのか?などを確認しながら行う検証実験のことがPoCです。

こういった検証をこまめに行い随時調整していくことで、大きな事故や立ち直りが難しいレベルの失敗を起こす確率を低減させます。これは、ウォーターフォールなどの理論や過去データなどで行うものではなく、実際にサービスやシステムを簡易的に試作し実験を行い、自分の考えが正しいのか、実現性があるのかを確認するプロセスです。
こういった事業の進め方が、新しい時代にあった確実性の高い検証であるとSEOU会は考えます。

PoCを成功させるには?

1.本運用に近い条件で検証する

PoCでは正確なマーケットデータを求めるために、サービスの簡易版を作成することになります。できる限り本運用と同じ、またはそれに近い条件で検証をする必要性があります。
本運用に近い条件で検証し、ユーザーからのより精度の高いフィードバックを得ることで、投資タイミングが鮮明になります。

2.PDCAサイクルの細分化

PoCを細分化し課題と解決をサイクル化する事が大切です。それにより人件費などの各コストを軽減でき、スピード感を持って結果を検証していくことが可能となります。
また、国内のスタートアップでは疎かになっていた、【課題設定→実証方法の設計→実証→結果→改善/報告】のPDCAサイクルの可視化が容易になります。
さらにこういったサイクルを運用することにより、新たな課題の発見に繋がります。
※サイクルが回っていると、失敗の情報量が格段に増えるので、投資対象を絞る指針にもなります。

POC投資基準を支えるMVP

MVP(Minimum Viable Product)とは、顧客に価値を提供できる最小限のプロダクトのことを指します。

完璧な製品・サービスを目指すのではなく、顧客が抱える課題を解決できる最低限の状態で提供し、顧客からのフィードバックなどを参考にし、新機能の追加や改善点の見直しをはかるプロセスです。
※「仮説→計測→学び」のプロセス

MVPを作る目的は、想定しているプロダクトの検証です。ウォーターフォールなどで「顧客に価値を提供できる完璧なプロダクトができた!」と思っても、実際に市場に出るまではそのプロダクトが本当に顧客に価値を提供できるのかはわかりません。そこで、現代ではMVPを作ることが合理的です。

MVPを作り一度市場にリリースすると、顧客の反応が伺うことができ、その反応をもとに自身の想定は正しかったのかを検証することが可能となります。そして顧客の反応に応じた改善を繰り返すことにより、より顧客のニーズを満たしたプロダクトの完成に繋がるのです。

SEOU会では、フェーズ毎にMVPを作れば、最適なプロダクト作成に費やす時間・コストを削減できると考えます。

例えば、本来1つのプロダクトを作る場合、計画段階から市場にリリースするまで膨大な時間とコストが必要です。もしプロダクトリリース後に大幅な修正点が浮上したら、費やした時間とコストが無駄になってしまいます。
しかし、MVPは必要最小限の状態でリリースするので、時間とコストはそれほどかかりません。さらに、顧客からの反応をもとにプロダクトの根本的問題を早く発見することも可能です。

生み出される価値を
検証するPoV

PoCは「新しいアイデアや理論に対して、『本当にできるのか?』と『本当に役に立つのか?』を実証実験すること」でした。

システムの導入効果や新規サービスの意思決定に有効です。
ただ、PoCは何を検証するのか、その結果どのような状況になればプロジェクトを先に進められるのかの判断基準を事前に明確化しておくことが必要です。

そこが明確にならずPoCを実施しても、先に進めず、PoCを繰り返して疲弊してしまうという状況に陥って終了してしまうプロジェクトが数多くあります。

また、検証フェーズによってPoCとよく似ている、PoVがあります。
PoVとは、アイデアや技術的にも実現できることは分かっているが、それによって得られる価値仮説通りの価値を打ち出せるかが判断できない場合に想定している市場の最小単位のMVPで実際に検証するプロセスです。

このPovを実施するタイミングは導入によって新しい価値が生まれることは分かっているが、実際の導入によって生じるデメリットと比較してどれだけの価値があるのか判断できずに、投資の決断が難しいタイミングで実施します。

実際に現場に導入した事例を元に、社内プロジェクトであれば現場の声、社外のプロジェクトであればマーケットの声を聞いて投資する価値があるのかということを見極めます。

ビジネス上の効果を
見極めるPoB

プロジェクトを進めていく検証でPoB(Proof of Business:プルーフオブビジネス)と呼ぶ検証フェーズをプロジェクトに組み込むことも増えています。

PoBは、PoCとPoVをさらに深く掘り下げ、外部の利害関係者や会社の事業としての価値に焦点を当てる検証フェーズです。これには、純粋な概念実証の要素(PoV)に加えて、組織構造への影響、および実用最小限の製品 (MVP) ソリューションの実装に焦点を当てた要素が含まれます。つまりプロジェクトが概念実証でとどまらずビジネスとしての価値があるのかを図るための検証フェーズです。

PoBでは新規事業や新サービスの立ち上げをビジネスとしてみた場合の実現可能性やそれによって得られる収益の見極め、システム化の是非や必要となるシステム内容などについて仮説検証を実施し、事業としての有効性を確認していくことになります。

例えば、新しいビジネスモデルを考えた場合、その価値を実証するために必要なシステムを最小限の構成で構築します。構築後、実際に市場に導入し検証した後、検証結果によってはシステムの大きな仕様変更も考えられるので、ここでのシステム開発は最小限に抑えることが必要です。

そして、提供したサービスに対するユーザーのフィードバックを見極めて、ユーザーにどの程度受け入れられたのか?それによってどれくらいの収益が望めそうなのか?競合との競争優位性を確保できるか?について仮説検証をしていきます。検証をしていくと今後の開発に必要な人的リソース・技術、セキュリティの把握、開発コストなどを見積もることも可能です。

また、検証を繰り返すことによって課題の洗い出し、サービスの向上を繰り返しおこなっていくPDCAサイクルを行なっていくことによって、市場や社内への浸透を図っていきます。このようなことを意識してプロジェクトを進めていきます。